海外の年金制度 フランスとの社会保障協定
フランスで働く場合に加入する社会保障制度
日本の企業に所属しながらフランスに派遣されて働く場合、右表のように、就労状況や派遣期間によって、どちらの国の社会保障制度に加入するかが異なります。
日本、あたはフランスの社会保障制度に加入した場合、もう一方の制度加入は免除されます。
フランスでの就労状況 |
加入する社会保障制度 |
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日本の事業所からの派遣
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5年以内と見込まれる一時派遣 | 日本の社会保障制度 |
上記派遣者の派遣期間が予見できない事情により5年を超える場合 | 原則として延長は認められず、フランスの社会保障制度。ただし、事情によって両国の合意が得られた場合、日本の社会保障制度(最長6年まで) | |
5年を超えると見込まれる長期派遣 | フランスの社会保障制度 | |
フランスでの現地採用 |
フランスの社会保障制度 |
労働災害に対する保険の加入及び随伴被扶養者の事業主確認
日本からフランスへ一時派遣される人が、フランスの社会保障制度加入を免除されるためには、日本の労働者災害補償保険の海外派遣者の特別加入制度、またはこれに準ずる保険に加入している必要があります。
派遣する事業主は加入を確認し、適用証明書申請の際に「事業主確認用紙」を提出する必要があります。また、一時派遣される人が被扶養配偶者または子を随伴する場合も、事業主は「事業主確認用紙」を提出する必要があります。
1年インターバルルール
日本からフランスへの派遣が2回目以降の場合は、直近の一時派遣によるフランスでの就労期間が終了した時点から次の一時派遣による就労期間が開始するまでの間に少なくとも1年が経過していることが必要です。
海上航行船舶の乗務員の取扱い
フランスの旗を掲げる海上航行船舶において被用者として就労している者であって、日本の事業主から報酬を受けており、日本に住所を有している場合は、日本の社会保障制度に加入し、フランスの社会保障制度の加入が免除されます。
両国の年金加入期間の通算
両国の年金制度に加入した場合、それぞれの国の年金を受けるためには、その国の受給資格期間(日本は原則25年)を満たす必要があります。社会保障協定では、受給資格期間を満たすために、互いの国の年金加入期間を通算できるようになっています。
加入期間の通算は、原則として受給資格期間を満たすためのものであり、年金額には反映されません。
対象となるフランスの年金制度および受給資格期間は、右表のとおりです。
フランスの老齢年金および遺族年金には受給資格年数がないため、日本の年金加入期間を通算しなくてもフランスの年金を受けられます。
障害年金および一部の特別制度(国鉄、電気ガス公社など)の支給要件である1年には、日本の加入期間を通算することができます。
フランスの加入期間を日本の加入期間に通算する際は、フランスの四半期を日本の3か月に換算します。
フランスの年金制度
給付の種類 |
受給資格期間 |
---|---|
老齢年金 |
なし(受給開始60歳〜) |
障害年金 |
最低1年以上 |
遺族年金 |
なし |
フランス年金の計算方法
フランスの老齢年金および遺族年金の給付額は、次の2通りの方法で計算を行い、協定の適用による計算方法の額が高い場合は、協定を適用してフランス年金が支給されます。
1、協定の適用によらない計算方法:フランス期間のみに基いて決定される。
2、協定の適用による計算方法:フランスと日本の期間の合計期間に基いて決定される。